粉体塗装の用途

 こちらのページでは粉体塗装の用途についてご紹介いたします。粉体塗装の大きな特徴は、高い耐久力と柔軟性、およびそれによる防錆性にあります。そのため溶剤塗装に比べて、屋外のように温度変化の大きい環境で使用される製品の塗装に採用されるケースが多いです。また粉体塗装の中でも、熱可塑性粉体塗装であるのか熱硬化性粉体塗装であるのかで用途が変わってきます。

熱可塑性粉体塗装の用途

 熱可塑性粉体塗料は、熱を加えることで塗料が溶融・軟化するので形状を変化させることができ、冷えると形状が固化して塗膜にすることができるという特徴を持った塗料のことを指します。主な粉体塗装樹脂材料に、ポリエチレンやポリアミド(ナイロン)があります。

ポリエチレン粉体塗料の用途

ポリエチレンの中には、①低密度ポリエチレン、②変性ポリエチレン、③発泡性ポリエチレンの3種類があります。

①低密度ポリエチレン:

こちらのページでご紹介しております塗料の中では比較的安価な部類になります。同時に加工性に富んでおります。用途としては、自転車カゴ、冷蔵庫棚などの雑貨など、屋内・屋外問わない場面で塗装に採用されます。

②変性ポリエチレン:

密着性、耐候性などに優れておりますので屋外で使用される製品の塗装に採用されます。具体的にはパイプやフェンスの塗装に使われます。

③発泡ポリエチレン:

遮音性、防振性、断熱性などに優れていることから、建築資材の塗装に採用されます。

ポリアミド(ナイロン)粉体塗料の用途

耐磨耗、耐油性、耐衝撃性、耐熱性に優れており、屋内・屋外問わず様々な場面での塗装に採用されております。具体的にはローラーやバルブ、食品機械などの工場で使用されるようなものから医療機器のように屋内でもクリーン度の高い場所で使用されるものまで色々な製品の塗装に使用されます。

熱硬化性粉体塗装の用途

 熱硬化性粉体塗料は、熱を加えることで架橋反応を生じさせ塗膜が形成される塗料のことを指します。架橋反応によって特性が変化するため、各種の性能を付加させる事ができ、そのため用途に応じた塗料を選択する事ができます。

エポキシ系粉体塗料の用途

エポキシ系粉体塗料は優れた防食性、密着性、ならびに耐薬品性をもっている一方で耐候性には劣ります。そのため埋設管の内外面や自動車の足回り部品といった、屋外用途でも紫外線の影響の少ない金属製品への塗装に使用されます。

エポキシポリエステル系粉体塗料の用途

エポキシポリエステル系粉体塗料は外観に優れたつや消し塗膜が形成できるという他の熱硬化性粉体塗装には見られない特徴を有しております。しかしエポキシ樹脂が含有されておりますのでやはり耐候性には劣ります。そのため屋内用の鋼製家具や家電製品などの塗装に採用されることが多くなっております。

ポリエステル系粉体塗料の用途

ポリエステル系粉体塗料は耐酸性や耐湿性だけでなく、エポキシ系粉体塗料の弱点でもある耐候性にも優れており、大きな欠点のないバランスの取れた塗料となっています。そのため粉体塗装の中でも、建材や農機具、更には重電機器といった屋外で使用されるものの中でもとりわけ紫外線の影響を多く受ける製品への使用にも耐えることができます。

フッ素系粉体塗料の用途

フッ素系粉体塗料は超耐候性、耐光性、耐薬品性に極めて強い性質を持っていることが特徴として挙げられます。そのため超高層~中高層建築の外装といった紫外線の影響を非常に大きく受ける製品への塗装に採用されます。